【第八位】村下孝蔵さんの「夢からさめたら」もう一度だけ夢をみたい。歌詞の意味や世界観を解説・鑑賞
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今回は特にジャンル分けの難しい、いかにも村下孝蔵さんらしい楽曲「夢からさめたら」をご紹介して、皆様と一緒に鑑賞してまいります。
歌詞の「愛をぶら下げる」という表現は、村下さん自身が実際に使った表現だとのお話もあり、詩人らしさも前面に出ていますね。
- 参考:村下孝蔵さん楽曲解説特集🎸
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(⇒村下孝蔵さん楽曲解説・歌詞解題についての詳しい「考え方」はこちら)
ご興味のある方は、以下の記事もお楽しみいただけるはずと自負しておりますので、お時間のあるときにどうぞ遊びにいらしてくださいませ。
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【第八位】村下孝蔵さんの「夢からさめたら」もう一度だけ夢をみたい。歌詞の意味や世界観を解説・鑑賞(解説楽曲例:ロマンスカー、だめですか、いいなずけ、北斗七星、夢からさめたらなど)
個人的な解釈になるのは避けられませんけれど、管理人なりに全力で取り組みましたので、皆様が村下さんの楽曲を別な視点から楽しむ参考になることだけは請け合いです☆
下部に歌詞全文を用意しました。適宜ご利用くださいね。
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(遷移せずこの場で再生できます▶)
夢からさめたら目の前に
君が立っていた 愛ぶらさげて
どんな時でも影から見てくれてた
解題
聴き方によっては悲劇を連想させるようなシンセサイザーの導入で楽曲は始まります。
もちろんそこには村下さんの繊細さが表現されてもいるのですけれど、本楽曲の哀しさを冒頭からはっきりと見せつけてくれていますね。
タイトル通り、半ば夢の情景なのかと思わせる歌詞が特徴です。
男性が目を覚ますと、そこには愛を「ぶらさげ」た女性が立っていました。
「どんな時でも影から見てくれてた」ような女性ですから、二人は深い関係にあり、しかも女性が男性を応援するような状況もみられたのでしょう。
愛をぶらさげるとはどういう意味なのか。
この部分の歌詞をプラスの意味合いでとれば、何も飾りのない愛を丸出しにして女性は男性と関わっていたということになりそうです。
胸に抱えていたのでもなく、握りしめていたのでもなく、ただ「ぶらさげていた」。
そこにはこの二人の互いに対するまっさらな愛情が表現されていると考えれらないでしょうか。
かつてこのような関係にあった二人なので、
ぬくもりがあふれたあの場所へ
帰れるものならば帰る
二人 自転車に乗り走ったね
しがみついて笑った君のもとへ
男性は当時への想いを歌います。
二人で自転車に乗っていたというのは、村下兄貴お得意の映画的な表現でしょう。
典型的な情景としては、男性が前でハンドルを握り、女性が後ろに座るか立っているかして、互いに底抜けに笑いながら自転車で風を切っている様子。
そこにはどんな心配も、どんな苦しみもなく、互いへの愛とその表れがあるだけ。
寂しくなったらそばにきて
もたれあうように支えあった
寒い時には肌あわせ あたためあった
こうした二人の関係に変化が訪れたのか、前に取り上げた「夢のつづき」のように、どこかで立ち行かなくなることが分かってしまったのでしょうか。
ここも人間的な表現かもしれませんが、お互いがいるにもかかわらず、二人は「寂しく」なるのです。
そのときにも「もたれあうように」支え合い、寒さにも肌を合わせて温め合います。
言葉選びからみても、本楽曲において、村下兄貴はこの段階の二人の在り方を望ましいものとしては扱っていないように感じます。
だけれど、もたれ合わざるを得ない二人は、些細なこと、小さなことで食い違うようになります。
ちっぽけなしあわせにこだわって
道に迷ってばかりいた
やっと集めた光さえも
指の間もれた
その都度その都度の自分の意見や、状況の要求することへの対応など、「ちっぽけなしあわせ」にこだわることで、二人の関係は混迷していきます。
関係を維持し、発展させるために二人で「集めた光さえ」、再びちっぽけな幸せを探すために手を広げると、そのすき間から漏れていってしまいます。
あるいは、いくら集めても、もはや二人のぬくもりある関係という光は消えていってしまいます。
だから、男性は、
二人 自転車に乗り走ったね
しがみついて笑った君よ
と追憶をたどる夢を見るのかもしれません。
全体として、そもそも二人の関係は夢だったのではないか? という空気が醸成されていると思います。
聴きどころ
どんな曲でもそうかもしれませんが、この曲はイントロではっきりとこの曲だと判別できます。
村下ワールド全開の悲しさがガツンと来るのですよね。
村下兄貴の歌唱も、まるでどなたかを念頭に置いているかのように光っています。
自分の経験してみたいことを
曲の中でやっている
とコメントしていたこともあり、確かに純愛や道ならぬ愛などそういう楽曲も多いですが、この「夢からさめたら」はご自身の経験も含まれているのではないかと感じます。
そこから来る「きみよ~~~~~~~」の叫びは逸品ですね。
管理人の感想(あとがき)
全部の曲に書いてしまいそうですけど、この曲もハマりました……(笑)
今回、解説を書いてみて、当初考えていたよりも夢の中のような色合いが強い楽曲なのだなと知って驚きました。(もちろん個人的な理解です)
「夢からさめたら」って、最初期のラブラブ関係から醒めてみると、という意味にも取れますね。
でも管理人はこのとらえ方はちょっと規模が小さすぎるかなとも思ったりして。
愛をぶらさげるという言い方の得体の知れなさも魅力的ですし、「だめですか?」と同じく……というよりもアニキの多くの曲と同じく、愛することへの問いかけになっているのも素晴らしいです。
この歌のような結末も、そうでない結末も、人間は自分自身に愛を問いかけながら進んでいきます。
その意味では、アニキは毎度とても力強く人々を応援していたといえますね!
村下殿はそのことに意識的だったのかのう、知らず知らずのうちにだったのかのう……。
(付記)隠れた曲ランク
本楽曲もベストアルバムに収録されない曲の代表ですね。
「北斗七星」と同じく『同窓會』にしか含まれていません。
個人的に知る限りではメドレーとして演奏されたこともないようですし、もしかすると村下さんの楽曲の中でもレアな位置づけかもしれません。
ご自身がこの曲をどう評価していたのかお聞きしてみたいです。
隠れた曲ランク=5
まとめ
今回は村下孝蔵さんの「夢からさめたら」を解説してまいりました。ぜひ皆様もご自分なりの解釈で楽しんでみてくださいね☆
他の楽曲解説もご覧になりたい方は、歌詞全文下部↓のリンクへどうぞ。(直近の解説楽曲は「いいなずけ」でした)
夢からさめたら【歌詞全文】
夢からさめたら目の前に 君が立っていた 愛ぶらさげて どんな時でも影から見てくれてた ぬくもりがあふれた あの場所へ 帰れるものならば帰る 二人 自転車に乗り走ったね しがみついて笑った君のもとへ 寂しくなったらそばにきて もたれあうように支えあった 寒い時には肌あわせ あたためあった ちっぽけなしあわせにこだわって 道に迷ってばかりいた やっと集めた光さえも 指の間もれた 二人 自転車に乗り走ったね しがみついて笑った君よ
(作詞・作曲:村下孝蔵 編曲:水谷公生ー1987年10月21日)
関連記事ーその他楽曲解説など
ここまでお読みくださってありがとうございました!
村下孝蔵さんには他にも素敵な楽曲がたくさんあります。
当サイトでこれまで取り上げた楽曲を改めて掲げておきますので、お時間のあるときにぜひ遊びにいらしてくださいね
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