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【第五位】村下孝蔵さんの北国曲「稚内から」愛を誓った二人にふれる。歌詞の意味や世界観を解説・鑑賞！
おうじゃ（管理人）
村下孝蔵スペース
村下孝蔵さん【しゃぼん玉】は人をトマトの気持ちにさせる。歌詞の意味を解説＆鑑賞！
おうじゃ（管理人）
（記事内にプロモーションを含む場合があります）
楽曲や歌唱の美しさと裏腹に、村下孝蔵さんの歌詞は難解であると言われることも多いですね。
もちろん歌われる詞そのままに味わうのが一番ですけれど、もう少し深くその世界観を見つめてみたいと思ったことはありませんか？
管理人はこれまで村下さんの楽曲解説を約50曲おこない、当サイトで公開してきました。
個人的な解釈にならざるを得ませんが、詩作や小説の執筆も手掛ける身として、可能な限り楽曲そのものから感じ取った内容を表現したつもりでおります。
- 参考：村下孝蔵さん楽曲解説特集🎸
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当サイトは非公式のファンサイトであり、ファンの皆様がご自身なりに楽しめる場を提供することを目的としています。同時に、村下孝蔵さんの全楽曲、とりわけその歌詞の意味や世界観を解説することを主たる目標に掲げています。
（⇒村下孝蔵さん楽曲解説・歌詞解題についての詳しい「考え方」はこちら）
ご興味のある方は、以下の記事もお楽しみいただけるはずと自負しておりますので、お時間のあるときにどうぞ遊びにいらしてくださいませ。
↓↓↓
村下孝蔵さん【しゃぼん玉】は人をトマトの気持ちにさせる。歌詞の意味を解説＆鑑賞！（解説楽曲例：ロマンスカー、だめですか、いいなずけ、北斗七星、夢からさめたらなど）
Q
当記事でも引き続き、村下さん後期の特徴的な一曲「しゃぼん玉」を解説・鑑賞していきます！
きっと、皆様が村下さんの楽曲を別な視点から楽しむ参考になること請け合いです☆
下部に歌詞全文を用意しましたので、適宜ご利用くださいね。
- 🎵 当記事の著者について
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Q
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『愛されるために』所収
“しゃぼん玉”
鮮やかな赤い色の
トマトをひとつ買いました
窓際にそっと置いて一日中眺めてる
解題
キーボードでしょうか、一幕の物語が始まるのを予感させる穏やかなイントロで楽曲はスタートします。
1994年に発表された楽曲で、村下さんもコンピューターサウンドに取り組んでいたというお話もありますから、そのテイストも込められているのでしょう。
基本的な情景としては、ある人物が自分にとって大切なものを思い浮かべ、そのものの性質について語っているというものです。
歌詞で使われている言葉の調子から、ここでは女性が主体と理解して鑑賞を進めることにします。
ひとり過ごしていた女性は、ある午後買い物に出かけ、並ぶ野菜たちの中でひときわ「鮮やかな赤い色の」とても甘みのありそうな「トマトをひとつ買いました」。
なぜこのトマトだけがこれほど鮮烈な感覚を自分に与えるのか、女性は理解できませんでしたが、それ以来「窓際にそっと置いて」語り掛けるようにぼんやりと「一日中眺めて」いるのです。
トマトと同じように愛されたい女性
もちろん、トマトは答えてくれないのですが、
何も話さず そばにいるだけで
トマトの気持ち わかります
こうやって「何も話さず」一緒に「そばにいるだけで」、女性は赤々とつやのある「トマトの気持ち」が「わかります」。
本楽曲は全編を通して、具体的にどのような事情を指して語られているのかが把握できない作りになっています。
あえて読み込んでみれば、女性が想いを寄せたお相手の男性が一定の事情を抱えていて、二人は結ばれえない関係にあるというところでしょうか。
それでも、女性はこの男性を心の底から愛してしまって、自分も同じように愛されたい、男性から可愛がられたいと（すなわちトマトが真っ赤な色で「美味しく食べてほしい」と思っているかのように）、熟れた想いを胸に秘めているということですね。
別の読み取り方として、女性がわが子を見つめているという方向も考えられます。管理人も当初はこちらで理解していたのですが、よく聴き込むと本文のスジなのかなぁとも思うところです。
注：村下さんは実際にトマトの声を聴いていたのかもしれないという研究結果（？）が出てきました！（⇒後述「あとがき」にて）
しゃぼん玉が映す二人の夢
＊しゃぼん玉 空を映して飛ぶ
愛しくて涙が出る
たとえはかなく消えても
きれいに飛ぶ
隣家の軒先から、楽し気な子どもの声とともに「しゃぼん玉」がよく晴れた「空を映して」美しく「飛ぶ」のが見えます。
このしゃぼん玉は女性と男性が結ばれる夢（そして二人の宝物が生まれる）、あるいはともに時間を過ごしているときの幸福な感覚を表しているようで、女性は「愛しくて涙が出る」のです。
なぜなら「たとえ」このまま「はかなく消えて」しまう運命だとしても、そのときまではこの世界のさまざまな光や景色、想いを映して、限りなく「きれいに飛ぶ」からですね。
しゃぼん玉 だんだん薄くなる
さみしくてとりたくなる
風に吹かれてさまよい
最後まで虹の色
そんな「しゃぼん玉」も見つめているうちに「だんだん薄くなる」。女性はそれが「さみしくて」、ほんの少しでもしゃぼん玉に映ったものを留めておきたくて「とりたくなる」。
しかし、女性の願いが叶うことはなく、しゃぼん玉は冷たい「風に吹かれて」左右に「さまよい」、消えてしまう「最後まで虹の色」をして飛んで行ってしまいました。
ここまで見てくると、ようやく女性は男性とお別れすることになったのかという想像ができてきます。本楽曲はその後日談だとみることもできそうです。
言葉とは反対に決して結ばれない二人
愛してると言われたら
愛されてると思うから
一度きりの言葉でも何よりも強い言葉
ぷつ、ぷつと空へ消えていくしゃぼん玉を見送って、女性はかつて男性と過ごした時間を思い返します。
そのときには、男性ははっきりと「愛してる」と言ってくれました。
そう「言われたら」当然大好きな相手だから疑わずに「愛されてると思うから」、あのとき「一度きりの言葉でも」女性にとっては他の「何よりも強い言葉」でした。
そのときの気持ちを女性は今でも覚えています。けれど、
本当にほしいものは どうして
手を伸ばしても 届かない
運命の綾なのか、二人の選択なのか、女性と男性が結ばれる可能性がないことは確定しています。
女性は何度つらい思いをしたことでしょう。「本当にほしいものは どうして」どれほど望み、願って「手を伸ばしても」決して「届かない」のだろう。
おそらく二人で数々の話し合いをして、やり取りをしたのだと思います。それでもそのたびに、お互い現在の生活を壊すことはできないという結論に至ったのかもしれません。
自分のすべてをかけての愛
＊くりかえし
女性の心の中ではしゃぼん玉が飛んでいく光景が「＊くりかえし」ています。
二人の想い出を映すしゃぼん玉を追いかけ、それが消えるのを何度も何度も見つめているうちに、女性は自分が愛しくもさみしい気持ちになっている決定的な理由に気付きました。
父さん母さん 命よりずっと
大切なもの 見つけたよ
女性は遠方に暮らす、あるいはすでに他界した両親に向けて語ります。
「父さん母さん」私は生まれて初めて自分の「命よりずっと 大切な」かけがえのない「もの 見つけたよ」……。
今、過去の振る舞いを振り返ればよく分かるのですが、女性が男性に対してしてあげたこと、願ったこと、それらは全部女性が自分の全存在をあげて男性を愛していたからでした。
そんな実現しないままはかなく消える男性との未来を、女性は窓の外を飛ぶしゃぼん玉と、窓の内に置いたトマトに感じているのです。
＊くりかえし
割れるまで虹の色
しゃぼん玉には空の青とともにトマトの赤も映ります。
その二つの色は「＊くりかえし」混ざり合って、女性の心の色味も含めて、どこまでも美しく「割れるまで虹の色」で浮かんでいます。
（解題ここまで）
聴きどころ
サビの部分の切なさが第一の聴きどころでしょうか。「さみしくてとりたくなる」のところなどは、村下さんの歌唱も情感たっぷりです。
ただ全体としてリズムも一定で、雰囲気も変わらないまま進行するので、慣れていない方にとってはどこを聴く歌なのか分かりづらいかもしれませんね（笑）
それでも聴けてしまうというのが村下さんのひとつの魅力なのです。
管理人の感想（あとがき）
本文中でも触れましたが、村下さんが本当に「トマトの声」を聴いていたかもしれないという研究結果が明らかになりました。
ピアノ調律の経験もある聴覚の優れた村下さんとはいえ、科学的な数値としては聞こえていた可能性は低いですが、あながちあり得ないことでもない……などと空想しています（笑）
当サイトでは常々、村下さんの楽曲は日常をそのまま切り取るだけなのに美しい世界観を表現すると述べていますけれど、その要因はここにもあるのかもしれません。
いろんな人・もの・音をいろんな風に聴いていたんじゃろう。森羅万象の音……ふむ……。
まとめ
ここまでお読みくださってありがとうございました☆
村下さんの楽曲は深掘りすればどこまでも解釈できてしまいますので、終わりがありません。どうぞ皆様もご自身なりの楽しみ方で「しゃぼん玉」を味わってみてくださいね！
他の楽曲解説もご覧になりたい方は、歌詞全文下部↓のリンクへどうぞ。（ちなみに前回解説楽曲は「夢の跡」でした）
しゃぼん玉【歌詞全文】
鮮やかな赤い色の トマトをひとつ買いました 窓際にそっと置いて一日中眺めてる 何も話さず そばにいるだけで トマトの気持ち わかります ＊しゃぼん玉 空を映して飛ぶ 愛しくて涙が出る たとえはかなく消えても きれいに飛ぶ しゃぼん玉 だんだん薄くなる さみしくてとりたくなる 風に吹かれてさまよい 最後まで虹の色 愛してると言われたら 愛されてると思うから 一度きりの言葉でも何よりも強い言葉 本当にほしいものは どうして 手を伸ばしても 届かない ＊くりかえし 父さん母さん 命よりずっと 大切なもの 見つけたよ ＊くりかえし 割れるまで虹の色
（作詞・作曲：村下孝蔵 編曲：水谷公生ー1994年7月1日）
関連記事ーその他楽曲解説など
村下孝蔵さんには他にも素敵な楽曲がたくさんあります。
当サイトでこれまで取り上げた楽曲を改めて掲げておきますので、お時間のあるときにぜひ遊びにいらしてくださいね
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ABOUT ME
村下孝蔵さんに出逢ってから、その楽曲を肌身離さず心に持ち歩いては味わってきました。
姉妹サイトではシティポップの楽曲解説や、自身の生活の中で頂いたお米の銘柄の特徴をレビューしつつ、【福話術】と題したあらゆる人の心に寄り添う記事を執筆、分野を開拓しています。
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