村下孝蔵さん【午前零時】歌詞の意味や世界観を徹底解説&鑑賞!
村下孝蔵さんを昔からご存知の方も、新たに出会った方も、ようこそいらっしゃいました!
前々回は「青い嵐」、続いて10thシングル「ねがい」を取り上げましたが、村下さんのお誕生日(2月28日)も近づいてまいりましたし、今回はファンも多いと思われるパワフル曲「午前零時」を解説・鑑賞してまいります。
- 参考:村下孝蔵さん楽曲解説特集🎸
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当サイトは非公式のファンサイトであり、ファンの皆様がご自身なりに楽しめる場を提供することを目的としています。同時に、村下孝蔵さんの全楽曲、とりわけその歌詞の意味や世界観を解説することを主たる目標に掲げています。
(⇒村下孝蔵さん楽曲解説・歌詞解題についての詳しい「考え方」はこちら)
ご興味のある方は、以下の記事もお楽しみいただけるはずと自負しておりますので、お時間のあるときにどうぞ遊びにいらしてくださいませ。
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村下孝蔵さん【午前零時】歌詞の意味や世界観を徹底解説&鑑賞!(解説楽曲例:ロマンスカー、だめですか、いいなずけ、北斗七星、夢からさめたらなど)
もちろん個人的な解釈であり、味わい方ですので、皆様が村下さんの楽曲を鑑賞する際のひとつの参考となれたならば幸いです。
それでは、早速「午前零時」の解説に入っていきましょう!
下部に歌詞全文を用意しましたので、適宜ご利用くださいね。
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一度や二度の裏切り
気にはならない俺だったよ
何時からだろう
こんなに弱くなってしまった
解題
美しくも切なく、しかし同時に力強く深い心を乗せたピアノのメロディから、激しいエレキギターのイントロへと展開する本楽曲。
基本的な場面設定としては、長くともに時間を過ごした女性の心変わりに打ちのめされた男性が、自分の置かれた状況を振り返りつつ心情を吐露しているという感じでしょうか。
歌詞の雰囲気からして、村下さん自身が下宿していた場所を写し取っているような印象もありますね。
昼間、友人や知人と交流したり、仕事や学習をしている間は気が紛れているのですが、帰宅して夜が更けてくると、途端に男性の心は愛していた女性への想いであふれてしまいます。
少しやんちゃなところがあるヤツだって分かっていたし、他の男との「一度や二度の裏切り」なんて全然「気にはならない俺だったよ」。
けれど「何時からだろう」か、この想いが本気になればなるほど、女性がどんな気持ちで過ごしているのか、どういうつもりなのかと思い悩んで「こんなに弱くなってしまった」。
どうして自分がこれほど苦しいのか、男性自身も分からずとまどっています。
何も言わずにいたから
このまま行けると思ってた
気まぐれの恋だなんて想う程若くない
思い返せば心の隅で何か気付くようなことがあった気もします。
でも、二人とも「何も言わずにいたから」今まで通りの関係で「このまま」ゴールまで「行けると思ってた」……と、男性は何を悔やめばよいのかも分からず佇んでいます。
表向きは強がってみせることもあったけれど、遊びで「気まぐれの恋だなんて」本当に「想う程若くない」のもよく自覚していますし、女性もそのことは分かっていたはずだとも考えてしまいます。
暮しなれた部屋の鍵に
君の消えかけたイニシャル
探すあてない 街の賑わいさえも
冷たい風の向き 変えられない
女性が触れた香りがそこかしこに残っているような、薄暗い部屋に一人でいても仕方がないと、男性は街へ出ます。
握りしめた二人で「暮しなれた部屋の鍵に」は、女性「の消えかけたイニシャル」がちらちらと光る街灯に照らされています。
一緒に歩いたことのある界隈まで来れば、男性は女性の姿がどこかにないかと無意識に思ってしまいます。
約束をしているのでなければ「探すあてない」雑多ながらきらびやかな「街の賑わいさえも」、男性の内と外に吹き付ける「冷たい」心の「風の向き」をいつも飲んだときのように開放的なものへと「変えられない」のです。
*だから暗い暗い今夜は 暗い暗い闇の中で
暗い暗い一人でもうわからない
「だから」男性は早々に部屋へ戻ることにしましたが、その途中でもこの上なく「暗い暗い今夜」の様子に打ちひしがれます。
泣きだしたいのか逃げ出したいのか、憤りたいのか、男性は「暗い暗い」夜と自分の心の「闇の中で」、どんな答えにも気持ちの整理にもたどり着けず「暗い暗い」胸を抱え「一人で」感情をふるわせ「もうわからない」と嘆いています。
これで最後の恋だと
心に決めた俺だったよ
知らず知らずのうちに
醒めていた君の心
女性との日々が胸によみがえってきます。
ともに街を歩き、食事をし、身体を重ね、言葉を交わした数々の光景がつらなって、美しい思い出となっては、色を失った気配をもって男性に迫ります。
「これで最後の恋だと」それまでの柄にもなく「心に決めた俺だった」けれど、それを言葉に出す機会のないまま「知らず知らずのうちに」遠く離れ「醒めていた」女性の「心」は何を見ていたのか……。
どうしても男性は自分を責めがちになってしまいます。
変わりばえない生活にも
夢のひとつはあるはずだよ
心すりつぶしてまでも
二人見つけたかった
いつも新鮮な体験を女性に与えたあげたかったものの「変わりばえない生活」を続けざるを得なかったこと。
しかしそうした生活「にも 夢のひとつは」よく心を合わせれば「あるはずだよ」。
もし夢を見出すため持ち寄った「心」を粉々に「すりつぶしてまでも」、「二人」がそのまま一緒に生きていける道を「見つけたかった」。
そう思うほど男性は女性のことを愛するようになっていました。
ガラス窓をたたく雨に
遠く揺れる街の灯り
午前零時の時を告げる ラジオの音が
この部屋に響くよ
物思いに沈んでいた男性が気付くと、雨音がしていました。
夜の黒い「ガラス窓をたたく雨に」、男性の顔は歪みよじれて映っています。
背景に「遠く揺れる街の灯り」は、そのどこかで女性がこの時間を幸せに、あるいは不幸に過ごしているかなど、わずかも手がかりを与えてくれません。
女性の居場所も姿も気持ちも見当をつけることができないでいるうちに、今夜も「午前零時の時を告げる ラジオの」昔と変わらない「音が」、二人の影を残す「この部屋に響く」のです。
*くりかえし
暗い暗い今夜は 暗い暗い闇の中で
暗い暗い一人でもうわからない
ずいぶん前から女性を失っていたことを知った男性の心に「*くりかえし」続ける思いは、もう変わりません。
こんなに何もかも「暗い暗い今夜は」、涙が流れているのかも分からないほど「暗い暗い闇の中で」、誰とも関わることなく「暗い暗い」たった「一人で」……「もうわからない」……。
ともに幸せを求めた男女が、いずれにとっても捉えきれない事情によってすれ違った顛末を男性の豊かな心情描写によって描いた大名曲ですね。
聴きどころ
伝説ライブ
絶対に言及しなければならないのは、冒頭でも掲げたライブ映像です。
「天才歌人・村下孝蔵の隠れた名曲【13曲】をランキング形式で完全解説」の部分でもこの映像は取り上げていますが、本当に尋常ではないので、触れたことのない方はぜひご覧になってみてください。
真偽のほどは不明なのですが、ギター1本、村下さんたった一人での演奏とも言われています。
ハマってしまうと、たぶん1,000回は聴けると思います(笑)
「変わりばえない生活にも」の「もーー」がライブ音源だと大変よく響いて伸びもすばらしくて、聴き惚れてしまいますね。
公式音源でもライブでも、終盤のギターの泣き具合(この表現は通常エレキギターに使われるかと思いますが)というか、切ない踊り具合というか、絶品です。
管理人の感想(あとがき)
この曲に出会ったのは村下さんを知ってしばらく経ってからだったでしょうか。
すでに「陽だまり」などの元気な曲にも触れていましたが、暗い方向のパワフルな曲も作る人なんだなぁと思った記憶があります。
そして、やはりライブ音源に出会ってから、この曲に対しての評価が自分の中でアップしました。
村下さんはライブの人、とはよく言われることなのですけど、ここまでのレベルなのか、と違う意味で打ちのめされたのもよい思い出です(笑)
皆様もぜひ、上に掲げたライブ映像に触れていただき、さらにご自身なりの楽しみ方で「午前零時」を味わってみてくださいね☆
午前零時【歌詞全文】
一度や二度の裏切り 気にはならない俺だったよ 何時からだろう こんなに弱くなってしまった 何も言わずにいたから このまま行けると思ってた 気まぐれの恋だなんて想う程若くない 暮しなれた部屋の鍵に 君の消えかけたイニシャル 探すあてない 街の賑わいさえも 冷たい風の向き 変えられない *だから暗い暗い今夜は 暗い暗い闇の中で 暗い暗い一人でもうわからない これで最後の恋だと 心に決めた俺だったよ 知らず知らずのうちに 醒めていた君の心 変わりばえない生活にも 夢のひとつはあるはずだよ 心すりつぶしてまでも 二人見つけたかった ガラス窓をたたく雨に 遠く揺れる街の灯り 午前零時の時を告げる ラジオの音が この部屋に響くよ *くりかえし 暗い暗い今夜は 暗い暗い闇の中で 暗い暗い一人でもうわからない
(作詞・作曲:村下孝蔵 編曲:水谷公生ー1981年4月21日)
関連記事ーその他楽曲解説など
ここまでお読みくださってありがとうございました!
村下孝蔵さんには他にも素敵な楽曲がたくさんあります。
当サイトでこれまで取り上げた楽曲を改めて掲げておきますので、お時間のあるときにぜひ遊びにいらしてくださいね
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