村下孝蔵さんの【未成年】歌詞の意味や世界観を徹底解説&鑑賞!
村下孝蔵さんを昔からご存知の方も、新たに出会った方も、ようこそいらっしゃいました!
当記事では、3rdシングルA面「帰郷」に引き続き、同シングルB面「未成年」を解説・鑑賞してまいります。
村下さんの楽曲の中でも苦悩度合い(?)が正面から取り上げられている作品ですね。
- 参考:村下孝蔵さん楽曲解説特集🎸
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(⇒村下孝蔵さん楽曲解説・歌詞解題についての詳しい「考え方」はこちら)
ご興味のある方は、以下の記事もお楽しみいただけるはずと自負しておりますので、お時間のあるときにどうぞ遊びにいらしてくださいませ。
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村下孝蔵さんの【未成年】歌詞の意味や世界観を徹底解説&鑑賞!(解説楽曲例:ロマンスカー、だめですか、いいなずけ、北斗七星、夢からさめたらなど)
もちろん個人的な解釈であり、味わい方ですので、皆様が村下さんの楽曲を鑑賞する際のひとつの参考となれたならば幸いです。
それでは、早速「未成年」の解説に入っていきましょう!
下部に歌詞全文を用意しましたので、適宜ご利用くださいね。
- 🎵 当記事の著者について
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未成年『何処へ』所収
深い嘘にうなされ
浅い夢から醒める
忘れたい事ばかり 頭の中を回る
解題
迫ってくる力強いコーラスから始まる本楽曲。
基本的な場面設定としては、男性が「未成年」の時期にお付き合いしていた女性との思い出を振り返り、それと同時に自分自身の振る舞いなどを省みている様子でしょうか。
冒頭から盛り上がった演奏での導入である点も、タイトル通りの苦悩を上手に表現していますね。
自分の振る舞いを悔いる男性
男性は女性のことを愛していた(つもりだった)のですが、何かのきっかけで女性に対してひどいことを言ってしまいます。
自分でも思わず口から出た言葉は女性を深く傷つけ、そのときの女性の表情を男性はよく記憶しています。
その振る舞いが原因かは定かではありませんが、女性が二人の関係の終わりを考え始めるのは自然なことでした。
端的に言って、女性は他の人に視線を移していったのでしょう。だけれど、そのことを男性には黙ってお付き合いを継続していた。
あるとき、男性はそのことを知ったのですね。
男性も自分がこの展開に一役買っていることを自覚しているので、女性への怒りや、他のお相手らしき影への嫉妬、それらの感情を持って見れば男性にとって実に「深い」と感じさせられる「嘘にうなされ」ます。
夜の暗い布団に身を横たえれば、当然、女性の笑顔や悲しい顔が思い浮かび、見たこともない他者の影も迫ってきて眠ることなどできず「浅い夢から」はたと「醒める」のです。
望んでいないのに、以上のような考え・感情を反芻してしまい、男性の「頭の中を回る」のは苦しく「忘れたい事ばかり」です。
かじかんだ指先で 綴る君への手紙
大人のふりをして 自分を隠しながら
男性は苦しみで冷えていく心とともに「かじかんだ指先で」ペンをとり、女性への手紙を綴ります。
ここで、男性は女性への想いがこれまでになく募ることに気付きます。
思い返してみれば、いかに女性が自分を大切にしてくれていたか、どんな顔で笑いかけてくれたか、自分はそれにどのように応えたのか……。
もう一度だけチャンスが欲しいと強く思いますが、男性の中の何かがそれを正直に綴ることを妨げ「大人のふりをして 自分を隠しながら」手紙を書きました。
同じ過ちをくり返す自分の姿を見る
愛して嫌われて 人の愛わからない
傷つけるだけの恋ばかり
つらい別れを またくり返し
憧れを少しずつ 諦めに変える
男性にとっては、こうやって関係が終わるのは初めてではないのかもしれません。
今回こそと思った本楽曲で歌われている女性とさえ、同じように終わりを迎えていることも、男性にとって大きな苦悩なのでしょう。
最初はお互いに全力で「愛して」、すれ違いが生まれれば簡単に「嫌われて」、男性にとって「人の愛」は「わからない」ものです。
自分自身を見つめても、真意とは裏腹に相手を「傷つけるだけの恋ばかり」しています。
そうなれば互いにとって「つらい別れを またくり返し」て、恋愛や愛といったものに抱いていた「憧れを少しずつ 諦めに変える」のみです。
けれど、もちろん男性はこの憧れをすべて手放せるはずもなく、
心の片隅に 想いは凍りつき
言葉にはならない誰か溶かしてくれ
もっと人と人は愛し合えるはずだ、このような関係のあり方ばかりではないはずだ、それを君と僕はできるはずだ、という「想い」が「心の片隅に」「凍りつき」、「言葉にはならない」形をとって存在しています。
男性は自らこの想いをどうすることもできず「誰か溶かしてくれ」と心の中で叫んでいるのですね。
形ある倖せ 音のない倖せ
見せかけの倖せ
すべて消えてゆくよ
男性の精神はより深いところへと入り込んでいきます。
物質的な「形ある倖せ」も、互いに掛ける言葉という大切な「音のない倖せ」も、ただとりつくろわれた「見せかけの倖せ」も「すべて消えてゆくよ」。
ちょうど青年期にある男性としては、このように思考と現実と理論と感情の入り混じった想いを持つのも自然かもしれません。
新天地を求めて
明日の朝になったら
僕は北へと旅立つ
二度と呼ぶことのない
名前をつぶやいてみる
村下さんの楽曲に限らず、つらい出来事があると男は北へゆくというような発想がみられる例もあるのですが、ここでは男性が就職や進学、転居などで女性のいる街から「北へと旅立つ」ということなのでしょう。
この日も男性は眠れぬ時間を過ごし「明日の朝になったら」と女性へ呼びかけています。
別の街へ移れば間違いなく「二度と呼ぶことのない」女性の「名前をつぶやいて」みるのですが、応えはあるはずもない。
君の名残りあるもの
焚火の中に捨てる
立ち込める煙の中
過去が灰になってゆく
女性がくれた手紙や、一緒に撮った写真、ともに出かけた場所のお土産など、女性の「名残りあるもの」を順に「焚火の中に捨て」ていきます。
「立ち込める煙の中」で、女性との無数の想い出がゆらめき、本当に存在したのか疑わせるほどにかすんで「過去が灰になってゆく」のを男性は感じました。
自分が街を離れること、女性は他のお相手と親しくしているのか、そうでないのか、好きにしろという気持ちと、その相手はちゃんと女性に似合う男なのかという心配など、男性の心の中は混ざり合った燃えカスとともにぐちゃぐちゃです。
愛して求め合い二人きり過ごした日
与えあうことはなかったよ
まるで安物の指環のように
ねじれて
めぐりめぐった愛の終り
男性と女性は心から愛し合っていると思っていました。
しかし、互いを「求め合い二人きり過ごした日」々において、「与えあうこと」はありませんでした。
男性は自分が女性にしてあげたいこと、女性は男性にしてあげたいことをし、また男性は女性にしてほしくないことを望まず、女性は男性にしてほしくないことを望みませんでした。
つまりは、いずれも自分のほしいものばかりを相手に見ていたということなのでしょう。
それが満たされれば喜び、与えられなければ相手をうらみ、このような関係が終わることは「まるで安物の指環のように」円を保てず好悪のうねりをもって「ねじれて めぐりめぐった愛の終り」そのものです。
男性は自分がこうした愛を再び体験していることを認識し、いよいよ別天地へ旅立つことを決めたのかもしれませんね。
他の楽曲同様、愛の意味に青年期の苦悩とあわせて迫った名曲です。
聴きどころ
すでに触れましたが、楽曲の入りからこちらへ強く寄ってくるコーラスやギターの音色が、いかにも未成年の苦悩の雰囲気を表していて見事です。
たぶんギターで裏拍の方がはっきりと演奏されていることで、リズム感がありながらややねじくれたような感情まで表現しているのでしょうか。
よく聴いていくとメロディもきれいですし、単純にAメロBメロの展開になっておらずワンクッションを置く形になっていますね。
この点も、未成年あるいは思春期の男性が生きるうえで「つまずく」ような感を呼び起こします。
管理人の感想
管理人が本楽曲にであったのは成年してからなのですが、それでもここで歌われている心情はとても「いかにも」なものに感じたものです。
昭和の方が現在(2022年11月29日当記事執筆)より男性も女性も(精神的に)大人になる時期が早かったと思います。
世の中的にそれが求められていたでしょうし、自分たち自身もそう望んでいたことでしょう。
その背景もあって、村下さんがこの楽曲で選択したような少し大人びた言葉遣いでありながら、未成年期のえもいわれぬ苦しみの様子がよく表されているのかもしれませんね。
また、どの時代の誰でも未成年期を通り抜けるという意味でも、たった今「未成年」である方が聴いてまったく問題なく味わうことができるでしょう。
現在未成年の方が聴いたらどんな風に聞こえるのか、すごく関心あります!
付記
本楽曲には別のバージョンが存在します。
1990年7月21日発売の『清涼愛聴盤』という、過去作のアレンジを集めたアルバムに収録されています。
こちらのバージョンは冒頭の入りがさらにシンセサイザーによってなおさら濃い味にされていて、苦悩感が高まっています。
エレキギターも加わり、やや時代が進んだ後の「未成年」が叫びを上げている感じですね(笑)
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それでは、皆さんもご自身の楽しみ方で、もっと「未成年」を味わってくださいませ☆
未成年【歌詞全文】
深い嘘にうなされ 浅い夢から醒める 忘れたい事ばかり 頭の中を回る かじかんだ指先で 綴る君への手紙 大人のふりをして 自分を隠しながら 愛して嫌われて 人の愛わからない 傷つけるだけの恋ばかり つらい別れを またくり返し 憧れを少しずつ 諦めに変える 心の片隅に 想いは凍りつき 言葉にはならない誰か溶かしてくれ 形ある倖せ 音のない倖せ 見せかけの倖せ すべて消えてゆくよ 明日の朝になったら 僕は北へと旅立つ 二度と呼ぶことのない 名前をつぶやいてみる 君の名残りあるもの 焚火の中に捨てる 立ち込める煙の中 過去が灰になってゆく 愛して求め合い二人きり過ごした日 与えあうことはなかったよ まるで安物の指環のように ねじれて めぐりめぐった愛の終り
(作詞・作曲:村下孝蔵 編曲:水谷公生ー1981年6月21日)
関連記事ーその他楽曲解説
ここまでお読みくださってありがとうございました!
村下孝蔵さんには他にも素敵な楽曲がたくさんあります。
当サイトでこれまで取り上げた楽曲を改めて掲げておきますので、お時間のあるときにぜひ遊びにいらしてくださいね☆
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未成年の声が若いので何歳位の曲だろうと
探す過程で出会いました
ここ2年くらい前に村下さんの良さを知った物ですが
それから1日足りとも欠かしたことが無いくらいハマっています
本当に名曲が多いですね
麦チョコさん、コメントありがとうございます!嬉しいです☆
改めてみてみると、未成年はかなり初期の楽曲ですね。
ファンの皆さまの中では、このころの村下さんの声が熱っぽさを感じさせてナイスという評価もあるみたいです。
個人的には、後期の丸みを帯びてどんどん深くなる声も好きですけどね~。
すでに2年もハマり続けていらっしゃるのですね!とても分かります(偉そうにすみません笑)
もしよろしければ、他にもお好きな一曲などあればコメント頂けたら幸いです~!