【第一位】村下孝蔵さんの真骨頂「だめですか?」歌詞の意味や世界観を解説&鑑賞
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このカテゴリーでは、村下孝蔵さんの楽曲の中でもややマニアックな、しかし天才歌人の資質が最高潮に表現されている楽曲を紹介しています。
当記事では人間のあり方に深く迫った名曲「だめですか?」を解説・鑑賞してまいります。
- 参考:村下孝蔵さん楽曲解説特集🎸
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当サイトは非公式のファンサイトであり、ファンの皆様がご自身なりに楽しめる場を提供することを目的としています。同時に、村下孝蔵さんの全楽曲、とりわけその歌詞の意味や世界観を解説することを主たる目標に掲げています。
(⇒村下孝蔵さん楽曲解説・歌詞解題についての詳しい「考え方」はこちら)
ご興味のある方は、以下の記事もお楽しみいただけるはずと自負しておりますので、お時間のあるときにどうぞ遊びにいらしてくださいませ。
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【第一位】村下孝蔵さんの真骨頂「だめですか?」歌詞の意味や世界観を解説&鑑賞(解説楽曲例:ロマンスカー、だめですか、いいなずけ、北斗七星、夢からさめたらなど)
きっと、皆様が村下さんの楽曲を別な視点から楽しむ参考になること請け合いです☆
下部に歌詞全文を用意しましたので、適宜ご利用ください。
- 🎵 当記事の著者について
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明日より遠くまで 星を連れ去り
空隠すように 雨がやまない
解題
はるかに暗い空、どこまでも続く奥行きを持つ宙空から届いてくるイントロで曲は始まります。
この曲はアルバム『愛されるために』に収録されているのですが、当時隆盛になっていたシンセサイザーを本格的に採用した楽曲のひとつとしても知られていますね。
雲に隠れた星空から透明な帯が降りてくるようなイメージでしょうか。
降雨のなか、灰色だが美しい情景です。
本作品の歌詞の基本路線は、想いを寄せた男性へ女性が語りかけるものです。
わたしを好きですか?いまでもずっと
わたしはだめですか?待ち続けても
二人が再会する可能性があるのかないのかは読み取れませんが、女性はずっと男性を想い続けます。
そのうち、待ち続けても自分ではだめだろうかと考えるようになります。
しかし、その男性のみをこの世で結ばれる相手と決めた女性は、
両手でも持てぬほど 愛をねだって
まだ足りないと すねた
二人はあるときまで、大変仲睦まじい時期があったのでしょう。
それが失われ、女性は当時のことを振り返って、自分が愛されていた以上の限りない愛を求めていたことに気付くのです。
そして、「愛されるために」、
頼らずにやれたとき ほめられたから
ただ強くみせたのに
自分自身で独立した姿を男性に見せます。
しかし、そのことが要因かははっきりしませんけれど、男性はこの女性のふるまいに応えることがありませんでした。
この愛されることを求めてやまない気持ちは、男女の恋愛にとどまらず、人間全体の性質に関わるものだと考えます。
「愛すること」がもたれ合うことなのか、求めることなのか、自立することなのか、待つことなのか。
さらに男女の、ひいては人間同士の関わりはどのようなものなのか。
まだ足りないと すねた
エンディングではこのフレーズが繰り返され、いくら求めても足りないという人間の性質のひとつが示されています。
このように、本楽曲は男女の恋愛を基礎に情景を描きながら、人間の根本的なあり方や感情まで広く深くとらえて制作されているものといえます。
イントロのはるか彼方から届いてくる様子や「わたしはだめですか」と問い続ける姿が、それ自体として具体的なものになって迫ってきます。
聴いているうちに、自分自身や人間そのものについて見つめさせられてしまうのです。
この楽曲は音楽の形を取りながら、その範疇を超えて私たちの心の奥深くにあるものを目覚めさせ、芽吹かせ、成長させる力を秘めた作品だと考えます。
よって、この曲を村下孝蔵さんの最高傑作として第一位に掲げさせていただきます。
聴きどころ
上でも触れましたが、イントロのシンセサイザーの入りは空の奥、宇宙の彼方から届いてくるかのような印象を持っており、導入から大変魅力的な楽曲です。
村下孝蔵さんの音楽の中では珍しい電子ドラムのビートも世界観を盛り上げますし、
サビの部分で村下アニキが歌い上げるファルセットは、深みがありつつ高音に到達しており、これもまた本楽曲の味わいを増しています。
さらに、強めにかけられているエコーがたとえば「決して届かない愛」や「無限に広い宇宙で自分だけがここに存在する」といった感覚を生み出す土台になっているようです。
Aメロ、Bメロとサビの間でリズムや歌詞の長さ、音階などが大きくは変化しないことが、本楽曲が徹底してひとつの主題を扱っていることを示しているともいえるでしょう。
管理人の感想(あとがき)
管理人が村下孝蔵さんに出会ったのは、アニメ『めぞん一刻』で使用された楽曲『陽だまり』でした。
順にアルバムを聴き進めるうち、この『だめですか』で奇妙な衝撃を受けたことを覚えています。
確かに『初恋』などとの音楽性の違いという点もあります。
しかし、このごくふつうの表現を用いた歌詞で、聴きようによっては単なる男女間のすれ違いだけを歌ったかのような見かけの中に、
どこまでも深く味わえるものが隠れていることに気付いたとき、身体の芯が震えました。
「愛はこういうものだ」、「恋人同士はこういうものだ」などの定義や評価のような表現なしに、事実のまま情景のままに人間の在り方を語る。
月並みな表現かもしれませんが、このときの村下孝蔵さんには神が宿っていたのだと感じます。
(付記)隠れた曲ランク
村下孝蔵さんを知っていても、本楽曲を知っている例はあまり多くないようです。
冒頭の「午前零時」などを聴いたことがあっても、それ以降「だめですか?」までは追いかけて聴いていなかったり。
もちろん本楽曲がマニア向けだとか、知っているほうがえらいなどという意味ではなく、そのくらい一般からは隠れていて、しかしながら上記のように天才的な究極の名曲だということですね。
隠れた曲ランク=5
(※ちなみにタイトルの「?」は全角ではなく半角の「?」です。……と思いきや、媒体によって表記ブレがあるだけのようです笑)
なんと初音ミクバージョンもあるんじゃな!
YouTubeにも映像たくさんあってビックリ~!
まとめ
この「だめですか?」楽曲解説は、姉妹サイト「おうじゃの福眼」で管理人が村下孝蔵さんの楽曲を取り上げる記事を作成しようと思い立って一番最初に書いたものです。
現在は歌詞の流れに沿って、語順のままに解題するようにしていますけれど、当時(2022年7月ころ)は歌詞の部分的な抽出で紹介していました。
当サイトでも全曲解説を目指してどんどん楽曲を紹介してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします!
他の楽曲解説もご覧になりたい方は、歌詞全文下部↓のリンクへどうぞ。
だめですか【歌詞全文】
明日より遠くまで 星を連れ去り 空隠すように 雨がやまない 両手でも持てぬほど 愛をねだって まだ足りないと すねた 私を好きですか?今でもずっと 私はだめですか?待ち続けても 出会うまで歩いてた 道も忘れた もう どこへも行けない 頼らずにやれた時 ほめられたから ただ強く見せたのに 私を好きですか?今でもずっと 私はだめですか?待ち続けても この世には結ばれる 人はひとりで もう この人と決めていたのに 両手でも持てぬほど 愛をねだって まだ足りないと すねた まだ足りないと すねた
(作詞・作曲:村下孝蔵 編曲:水谷公生ー1994年7月1日)
関連記事ーその他楽曲解説など
ここまでお読みくださってありがとうございました!
村下孝蔵さんには他にも素敵な楽曲がたくさんあります。
当サイトでこれまで取り上げた楽曲を改めて掲げておきますので、お時間のあるときにぜひ遊びにいらしてくださいね
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