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【平凡】な日々に村下孝蔵さんが見た男女、そして人間。歌詞の意味・世界観を解説&鑑賞

村下孝蔵 平凡 アイキャッチ
おうじゃ(管理人)
(記事内にプロモーションを含む場合があります)


今回は知る人ぞ知る一曲に分類されるであろう「平凡」を取り上げます。

ダルマ師匠
ダルマ師匠

かなり間が空いてしまってかたじけない!

音楽は何らかの価値あるものを表現したり、感情の発露を描いたりすることを試みるものが多いですから、本楽曲はタイトルからその正反対を志向しているように見えますね。

村下孝蔵さんのことをよく聴いていても、なかなか触れることがないのではないでしょうか。

(ちなみにサブ情報ですが、村下孝蔵さんの楽曲は「ハ行」で始まるタイトルが意外とたくさんあります。)

Q
参考:村下孝蔵さん楽曲解説特集🎸

当サイトは非公式のファンサイトであり、ファンの皆様がご自身なりに楽しめる場を提供することを目的としています。同時に、村下孝蔵さんの全楽曲、とりわけその歌詞の意味や世界観を解説することを主たる目標に掲げています。

⇒村下孝蔵さん楽曲解説・歌詞解題についての詳しい「考え方」はこちら

ご興味のある方は、以下の記事もお楽しみいただけるはずと自負しておりますので、お時間のあるときにどうぞ遊びにいらしてくださいませ。

↓↓↓

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村下孝蔵:隠れた名曲【13曲】ランキングカテゴリー
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(解説楽曲例:ロマンスカー、だめですか、いいなずけ、北斗七星、夢からさめたらなど)

⇒「踊り子」など代表曲はこちら

管理人なりに全力で取り組みましたので、皆様が村下さんの楽曲を別な視点から楽しむ参考になることだけは請け合いです☆

下部に歌詞全文を用意しました、適宜ご利用くださいね。

Q
🎵 当記事の著者について

当サイト管理人

新おうじゃ

名前 / Name  
おうじゃ 

職業 / Occupation
生来詩人、お米賞味マイスター、歌詞解説・鑑賞家、福話術者(家庭教師も兼業)

実績 / Achievements
生まれたときから詩的な人生を送っています。村下孝蔵さんに出逢ってから、その楽曲を肌身離さず心に持ち歩いては味わってきました。
姉妹サイトではシティポップの楽曲解説や、自身の生活の中で頂いたお米の銘柄の特徴をレビューしつつ【福話術】と題したあらゆる人の心に寄り添う記事を執筆、分野を開拓しています。

(姉妹サイト「おうじゃの福眼」プロフィールページへ遷移します)

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楽天ミュージック
『野菊よ 僕は…』所収

“平凡”

ちっくと2さんのチャンネルより

(遷移せずこの場で再生できます▶)

踊ってるかい?いけないダンス
聞こえてるかい?あの夜想曲

解題

男女のひそやかな夜の光景が目に浮かんでくるようなイントロです。

村下さんの哲学力(?)が増していく後期作品に位置づけられますので、基本的な場面を簡単に述べることも難しいですね。

しかし、夜の街で男性と女性が関わる何らかの場面が想定されていることは確かでしょうか。

男女いずれの目線ととらえてもかまわないと考えられますが、ある夜、自分自身や他の人間たちが夜を過ごす様子を見て「踊ってるかい?」と主人公は一人語りかけます。

巷では「いけないダンス」と言われている、この夜の時間を生きるどんな男女も味わい楽しんでいるダンス。

公然とひそかに踊るダンスには、お決まりの音楽が必要です。

「聞こえてるかい?」と主人公は自身もその夢想的で魅惑的な「夜想曲」のメロディに身を任せているのです。

満ちた香り まぶたを重くして
知識ならどこか 忘れたままで
乱れたタップ 夜明けは遠くなり
更けてゆく夜に 乾杯を

お酒のある場所でもそうでなくても、外界から閉ざされた環境でもそうでなくても、男女が身近に集えばそこでは「満ちた香り」が互いの「まぶたを重くして」いきます。

普段の自分とは違う振る舞いをむしろ求められているような香りに、誰もが理性的な「知識ならどこか」に置き「忘れたままで」踊っています。

初めはたどたどしかった足先も夜の趣に飲まれ、交歓すればするほど「乱れたタップ」が立てる激しい音は「夜明け」を押しやって明日「は遠くなり」、人は姿を隠していきます。

何者かであった人間が誰でもなくなるにつれ「更けてゆく夜に」、主人公は沈んでいきながら「乾杯を」捧げました。

上へ下へ 動く視線は
闇を照らす 鈍いピンライト

影ばかりになったその場所で「上へ下へ」濡れて光り「動く視線は」、まるで生まれ変わったばかりの生命が自分を探すため「闇を照らす」まだ幼く「鈍いピンライト」のようです。

主人公がこのピンライトに照らされたのかそうでないのか、定かではありません。

かんむりちゃん
かんむりちゃん

この辺りはだいぶ難解な雰囲気が出てきました!

欲しくなるかい?豊かな恋が
探してるかい?貧しい愛を

人々が見えない姿で自身とお互いを探しているこの場所で、主人公もまた顧みながら「欲しくなるかい?」と語ります。

無数の感覚や感情がめくるめく「豊かな恋が」、人の求めるものなのだろうか。

それともやはり「探してるかい?」物質も精神も超えた、ひどくシンプルで「貧しい」絶対的な「愛を」?

ピアノの音に 世界が魅せられて
響き出す 妖しい大人のリズム
これがそう 平凡 違うかい?
耳をつく 濁ったハーモニー

しかしそのような愛は人間たちには見つけることが困難なのか、今夜も「ピアノの音に」男女の織り成す「世界が魅せられて」いきました。

自身を見出すことのできなかった男女が同じ空間を過ごせば、そこには必ず「響き出す」ものがあります。

快楽と自己放棄の簡便な手段としての「妖しい大人のリズム」が、集った人々の心を満たし、行動を支配します。

主人公はそれを自覚しながら、なすすべもなく「これがそう 平凡 違うかい?」と半ばあきらめムードに陥っているようです。

ピアノの音やタップする踵の音、夜の街の音に男女の吐息など「耳をつく」行き場のない「濁ったハーモニー」が今夜も世界のいたるところで溢れていくのでしょうか。

速く遅く 肩を揺らして
意味をなくす 長い告白

自分の中であふれる何かを伝えたくて「速く遅く」ダンスを踊り、「肩を揺らして」互いの身を寄せては離している人間たち。

ダンスのときただ一つ自由な唇からは、愛も憎しみも正義も悪も、どんな言葉でも滔々と流れて出てきます。

しかし、それらは妖しい人間自身によって「意味をなくす」ことになる「長い告白」でしかありません。

ダルマ師匠
ダルマ師匠

どこか世界の状況を憂えているような、世相を斬っているような雰囲気もするな。

あせってるかい?まちがい電話
笑ってるかい?ぼやけた会話 いつも

そんな男女たちや自分を見つめて、主人公は「あせってるかい?」と独り言ちます。

自分の指先さえ自由にならないゆえの「まちがい電話」、何を伝えたいのか分からないゆえの「まちがい電話」を、人間同士は繰り返します。

それを自覚しながらなのだから「笑ってるかい?」と主人公は醒めたフリをしています。

勇気や覚悟が欠けるだけではなく、大切なものを別な場所に置いたままゆえの「ぼやけた会話」、本気になることができないと理解しているゆえの「ぼやけた会話」が「いつも」世界に満ちています。

踊ってるかい?いけないダンス
聞こえてるかい?あの夜想曲
すべてが 平凡 退屈な夜

それでも「踊ってるかい?」 人間同士が永劫に続けてゆくこの「いけないダンス」を?

主人公は自分の存在がどこまでも軽いものであることを感じたのかもしれません。

現在の世界のありように照らせば、この自分などに何らかの意味があるのだろうか、人間存在に意味があるのだろうか?

そんな主人公や人間たちを包むのは、回転をやめないレコードのような……「聞こえてるかい? あの夜想曲」を。

このように生きている私たちや人間・社会のあり方「すべてが」、この上なく「平凡」で「退屈な夜」を生み出しているのかもしれません。

際限なく深い場所まで味わうことができるのが、やはり村下さんの楽曲の大きな魅力ですね。

聴きどころ

オープニングのかすんだ歌声からのイントロは、本楽曲のテーマをすべて表しているといってよいかもしれません。

また、中盤で語られる女性の台詞も要チェックですね(もしかしたら文字に起こされたのはほとんど本邦初⁉笑)

数珠つなぎの言葉を
ぱちぱちと切っていく
ばらばらになった欠片の中に
ひとつくらいは
本物がありそうな気がするの

現代にあふれている言葉がいかに浅薄で偽りの多いものか、あるいは拠りどころとするには不確かすぎるか、村下さん自身が感じていたのでしょうか。

管理人の感想(あとがき)

いつもながら、解題を行ってみることでその曲の奥の奥まで理解できる(気がする)ものですね。

すべてが意識的ではないと思いますが、アーティストさんはメロディや歌詞や楽器などなどあらゆるものを統合的に活用して表現することができるのが本当にすごいです。

久しぶりの楽曲解説で多少ノリがこれまでと異なっているかもしれませんけれど、ここまでお読みくださってありがとうございます!

まとめ

今回は村下孝蔵さんの非凡曲「平凡」を解説してまいりました。ぜひ皆様もご自分なりの解釈で楽しんでみてくださいね☆

他の楽曲解説もご覧になりたい方は、歌詞全文下部↓のリンクへどうぞ。(直近の解説楽曲は「東京哀歌」でした)

平凡【歌詞全文】

踊ってるかい?いけないダンス
聞こえてるかい?あの夜想曲

満ちた香り まぶたを重くして
知識ならどこか 忘れたままで
乱れたタップ 夜明けは遠くなり
更けてゆく夜に 乾杯を
上へ下へ 動く視線は
闇を照らす 鈍いピンライト

欲しくなるかい?豊かな恋が
探してるかい?貧しい愛を

ピアノの音に 世界が魅せられて
響き出す 妖しい大人のリズム
これがそう 平凡 違うかい?
耳をつく 濁ったハーモニー
速く遅く 肩を揺らして
意味をなくす 長い告白

あせってるかい?まちがい電話
笑ってるかい?ぼやけた会話 いつも
踊ってるかい?いけないダンス
聞こえてるかい?あの夜想曲
すべてが 平凡 退屈な夜

(作詞・作曲:村下孝蔵 編曲:水谷公生ー1989年11月1日)

この歌詞全文の引用は「平凡」の魅力を解説するため、および閲覧者の方々の便宜のための必要によってなされたものです。

関連記事ーその他楽曲解説・小ネタなど

ここまでお読みくださってありがとうございました!

村下孝蔵さんには他にも素敵な楽曲がたくさんあります。

当サイトでこれまで取り上げた楽曲を改めて掲げておきますので、お時間のあるときにぜひ遊びにいらしてくださいね。

また、村下さんに関するちょっとしたネタやカバーしている方の情報なども順次まとめています。

ご興味があればTOPページからご覧くださいませ

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改めまして、ここまでご覧くださってありがとうございます!

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