【第七位】村下孝蔵さんの「いいなずけ」は永遠の想い合い。歌詞の意味や世界観を解説・鑑賞
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ここでは、村下孝蔵さんの楽曲の中でもあまり知られていない大名曲たちをご紹介しています。皆様がもっと村下さんに親しむきっかけとなれたら幸いです。
今回取り上げるのはやや後期の楽曲「いいなずけ」です。
村下ワールドの味をつかみ始めた方ならば、間違いなくガツンとはまる一曲ですので、ぜひお付き合いくださいませ。
- 参考:村下孝蔵さん楽曲解説特集🎸
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当サイトは非公式のファンサイトであり、ファンの皆様がご自身なりに楽しめる場を提供することを目的としています。同時に、村下孝蔵さんの全楽曲、とりわけその歌詞の意味や世界観を解説することを主たる目標に掲げています。
(⇒村下孝蔵さん楽曲解説・歌詞解題についての詳しい「考え方」はこちら)
ご興味のある方は、以下の記事もお楽しみいただけるはずと自負しておりますので、お時間のあるときにどうぞ遊びにいらしてくださいませ。
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【第七位】村下孝蔵さんの「いいなずけ」は永遠の想い合い。歌詞の意味や世界観を解説・鑑賞(解説楽曲例:ロマンスカー、だめですか、いいなずけ、北斗七星、夢からさめたらなど)
今回も管理人なりに全力で取り組みましたので、皆様が村下さんの楽曲を別な視点から楽しむ参考になることだけは請け合いです☆
下部に歌詞全文を用意しました。適宜ご利用くださいね。
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(遷移せずこの場で再生できます▶)
幼い頃から ずっと つながれて
いいなずけと呼ばれてたよ きっと二人
解題
男性が女性への想いを歌う本楽曲。
そろそろここに取り上げて書かなくてもよいかもしれませんが、またしても、結ばれなかった男女の関わりが基本背景です(笑)
しかも本楽曲はこれまで紹介してきた楽曲と違い、明白に「道ならぬ恋」であることが示されいますね。
あの夏 買った風鈴が
静かに鳴いて風に揺れる
いつまで心を重ね
祈ってみても隠れた恋
かすかにドラマ性を含んだ、落ち着いた清らかなピアノの伴奏から始まりますが、冒頭で早くも二人が「隠れた恋」の関係にあることが表現されます。
互いに惹かれ合った二人は、おそらく時間や都合のやりくりをして、旅に出かけたのでしょう。
屋台なのか露店なのか、夏祭りの神社やその気配が及ぶ夜の街角で、涼しく美しい音色を奏でる風鈴に出会い、記念に購入したのです。
楽曲の最初から振り返っていることを見ても、この風鈴の音が二人にとってどれほどの感情を呼び起こすものだったかは想像に難くありません。
「愛してる」「愛してる」
くり返し 抱きしめ合い
抱きしめ合う間、風鈴は窓辺に吊ってあったのでしょうか。
二人がひとつずつ入手したとすれば、風に揺れる音も二つで、共鳴したりしなかったりしたことでしょう。
いかに交わって混ざり合っても、決してひとつになることのない二つの音色が、忍んだ旅先で抱きしめ合う二人の耳にどのように聞こえたでしょうか。
どれほどお互いを想い、どれほどお互いに祈っても、この関係が先へ進むことはない。
もしもできるなら すべてなくしても
人生やり直したい 君とならば
もちろん男性としてはこう言わざるを得ないのでしょう。
道ならぬ恋だからこそ燃えるというのではなく、ここに本当の愛があることをはっきりと自覚してしまったがゆえに。
幼い頃から ずっと つながれて
いいなずけと呼ばれてたよ きっと二人
ここで言う「いいなずけ」は、幼少期から親同士が婚約をしていた当人たちという意味ではなく、もっと深いところの意味合いだと考えます。
「ずっと つながれて」いるほどの二人というわけですから、いわば運命や神が定めた間柄というレベルのものを指しているのではないでしょうか。
あの夜 水辺の道で
見ていた夢は白い蛍
手招き誘ってみても
宙を回って逃げて消えた
二人で出かけた旅行の続きの情景です。
あえて劇的に描いてみれば、二人は購入した風鈴を手から提げて風に鳴らしながら、水辺の道へたどり着きました。
このまま二人でずっと過ごしたいという「夢」は、白い蛍のように宵闇に淡く輝きます。
こちらへ引き寄せようと手招きをしても、蛍はほのかに瞬いたまま、逃げて消え去ってしまいました。
風鈴の音色が静かな蛍の羽音となって、二人を包んだことでしょう。
許される 許される
その日が来ると信じて
二人の関係が許される日が必ず来る、と二人は信じます。
この「許される」とは、例えば親などの二人を許す主体がいるというのではなく、社会が不倫を許すというのでもなく、互いの人生の道筋がそれを許すときがきっとくるはずだという意味に捉えたいと思います。
二人は現在の自身の環境を呪っているのではありません。
いま、共に暮らしている相手がいたり、責任を負っていたり、将来へ向けて活動している事柄がある、そのことを二人は否定していません。
ただ、このお互いの結びつき、お互いへの愛情に圧倒されているのだと思います。
どんなに冷たく 突き放されても
貧しくても 構わない 君とならば
現在の自身の置かれた環境を十分に分かっていながらも、こう言いたくなってしまう、それほどのつながりを二人は感じたのですね。
どうして人生のこのときに出会ってしまったのか、こんなに何もかもぴったりの二人ならば、
遠い街角で 初めに出会って
ありふれた恋をしてから 結ばれたかった
どこまでも美しい二人の心が垣間見えます。
聴きどころ
男性の想いを叫ぶ村下兄貴のサビが聴きどころかなと思います。
歌詞のせいかもしれませんが、比較的長めなサビが用意されていますし、その中でも盛り上がりへ向けた段階が踏まれているのがいいですね~~。
サビとそうでない部分の対比がはっきりしているのも特徴かもしれません。
全体として曲の雰囲気は一定で、音量が大きくなるという意味でもないのですけど、コントラストがはっきりした楽曲なのです。
CD音源では村下さんの声がややかすれることがあって、どことなくささやく感じがするのもgood!
管理人の感想(あとがき)
もちろんこの曲もハマったんですよね~(笑)
二人の姿が悲しすぎるし、美しすぎるし、尊いし……。
そして、やっぱり村下アニキはこの曲でもほとんどを事実描写のみで攻めているのです。
気持ちの中身とか、呼びかけや台詞ももちろんあるのですけど、そこに臭みを感じないのはどういうことなのでしょうか……。
個人的には、まさにそれがアニキのものすごいところのひとつだと考えています。
独白でもなく、説明でもなく、詩とはこういうものなのですね。
(付記)隠れた曲ランク
題名といい歌詞の内容といい、村下さんらしい部分が多いと思うのですが、やはり有名曲のようには知られていません。
「ロマンスカー」と同じアルバムに初出ですので、アニキの天才さが冴えわたっていた時期の楽曲です。
もっと聴かれるといいなぁ……。
隠れた曲ランク=5
⇒ライブバージョン(投稿者様が近く削除予定とのこと)
まとめ
今回は村下孝蔵さんの真愛曲「いいなずけ」を解説してまいりました。ぜひ皆様もご自分なりの解釈で楽しんでみてくださいね☆
他の楽曲解説もご覧になりたい方は、歌詞全文下部↓のリンクへどうぞ。(直近の解説楽曲は「夢のつづき」でした)
いいなずけ【歌詞全文】
あの夏 買った風鈴が 静かに鳴いて風に揺れる いつまで心を重ね 祈ってみても隠れた恋 「愛してる」「愛してる」 くり返し 抱きしめ合い もしもできるなら すべてなくしても 人生やり直したい 君とならば 幼い頃から ずっと つながれて いいなずけと呼ばれてたよ きっと二人 あの夜 水辺の道で 見ていた夢は白い蛍 手招き誘ってみても 宙を回って逃げて消えた 許される 許される その日が来ると信じて どんなに冷たく 突き放されても 貧しくても 構わない 君とならば 遠い街角で 初めに出会って ありふれた恋をしてから結ばれたかった 「愛してる」「愛してる」 くり返し 抱きしめ合い もしもできるなら すべてなくしても 人生やり直したい 君とならば 幼い頃から ずっと つながれて いいなずけと呼ばれてたよ きっと二人
(作詞・作曲:村下孝蔵 編曲:水谷公生ー1992年11月21日)
関連記事ーその他楽曲解説など
ここまでお読みくださってありがとうございました!
村下孝蔵さんには他にも素敵な楽曲がたくさんあります。
当サイトでこれまで取り上げた楽曲を改めて掲げておきますので、お時間のあるときにぜひ遊びにいらしてくださいね
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