村下孝蔵さんの【美し過ぎるミステイク】にみる避けられないすれ違い。歌詞の意味や世界観を解説!
村下孝蔵さんは自ら作詞作曲をおこなうシンガーソングライターだったので、他の方から曲や詞の提供を受けることは稀でした。
しかし、あの大作詞家・阿久悠さんから詞の提供を受けて制作されたのが今回取り上げる「美し過ぎるミステイク」です。
楽曲タイトルにも表れていますが、村下さんの世界観との違いが気になりますね!
これまで50曲以上の村下さん楽曲を解説し当サイトで公開してきた管理人が本楽曲を読み解いてまいります。
もちろん個人的な解釈にならざるを得ませんが、詩作や小説の執筆も手掛ける身として、皆様が村下さんの楽曲をもっと楽しむお手伝いができたらと思っています。
- 参考:村下孝蔵さん楽曲解説特集🎸
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当サイトは非公式のファンサイトであり、ファンの皆様がご自身なりに楽しめる場を提供することを目的としています。同時に、村下孝蔵さんの全楽曲、とりわけその歌詞の意味や世界観を解説することを主たる目標に掲げています。
(⇒村下孝蔵さん楽曲解説・歌詞解題についての詳しい「考え方」はこちら)
ご興味のある方は、以下の記事もお楽しみいただけるはずと自負しておりますので、お時間のあるときにどうぞ遊びにいらしてくださいませ。
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村下孝蔵さんの【美し過ぎるミステイク】にみる避けられないすれ違い。歌詞の意味や世界観を解説!(解説楽曲例:ロマンスカー、だめですか、いいなずけ、北斗七星、夢からさめたらなど)
下部に歌詞全文を用意しましたので、適宜ご利用くださいね。
- 🎵 当記事の著者について
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さよならは
いつでも少しミステイク
そうでしょう
解題
カップリングA面である「哀愁物語~哀愁にさようなら~」と同様に、村下さんなりに歌謡曲ど真ん中を狙ったのであろう本楽曲。
現代の「メロウ」とはイメージが異なるかもしれませんが、ゆったりとしたイントロで歌謡曲におけるメロウサウンドを意識したともいえるでしょう。
基本的な場面設定としては、やはり上記楽曲と同じく、お別れを迎えた男女がお互いのことを想って語りかけているというものですね。
お互いの幸せを祈る思い違い
女性と男性はともに過ごす長い時間を経た後、やむを得ない事情から別れることを決意しました。
そうして、きっとお互い大人としての振る舞いを保って、冷静にお別れの言葉を交わしたのですね。
しかしそのような「さよならは」それぞれの想いを本当に伝え合うことにはならず、胸中に切なさを隠したまま「いつでも少しミステイク」です。
女性は「そうでしょう」? と隣にいない男性に呼びかけます。
おたがいの
しあわせ祈るミステイク
思い違いがあとからわかる
言葉が届いたのか、男性も別の場所で女性との別れを思い出します。
あのときは「お互いの しあわせ」を心から「祈る」つもりでさよならを言ったけれども、今の自分の気持ちを顧みてもそれは「ミステイク」だった。
外部の条件がどうあれ、二人ともあのまま関係を続けて最後までたどり着きたいと考えていたはずだ。
互いに離れた方が幸福になれるという「思い違いが」、こうして一人になってみて「あとからわかる」。
『ミステイク』という表現が、軽みを与えながら哀しさを加えて絶妙ですね。
過去と未来を見つめて
もう二度と あんな
あやまちはしないと誓って
二人が元の関係に戻ることは「もう」ないけれど、「二度と あんな」自分の心に嘘をついた「あやまちはしないと」離れ離れになった場所で女性と男性は「誓って」います。
次にこのような機会があれば、お互いにもっと素直に気持ちを表そうと呼びかけ合っているようですね。
もどかしいまわり道ばかり
何年もせつない思いで
泣いていたおバカさん
思えば、二人が互いを想い合っている間も「もどかしいまわり道ばかり」でした。
女性も男性も相手のことが大好きなのに、そのことを直接伝えるのが怖くて「何年も」自分だけで「せつない思いで 泣いていたおバカさん」同士だったのです。
そうやってせっかく結ばれた後で、このお別れを迎えたこと。
二人ははじめと変わらないまま、自分の想いをはっきりと伝えることができずに、大人らしいさよならを言うのが精いっぱいでした……。
自分の気持ちを隠すひとり芝居
さよならは
美し過ぎるミステイク
誰でも
いつわりの
言葉に酔ったミステイク
ひとり芝居で涙を流す
女性と男性は再び二人のお別れについて思い返します。
お互いのことを考えた体の「さよならは」、ともに新しい未来を手繰り寄せるようでもあり、過去の二人が終わる切なさを含んでもいて「美し過ぎるミステイク」です。
「誰でも」そのきらびやかな哀しさに魅せられ、本当の気持ちを忘れるふりをして「いつわりの 言葉に」お互い自身で「酔ったミステイク」をしてしまう。
それぞれが「ひとり芝居で涙を流す」様子を客観的に見ることができると、いっそう美しくつらい思いも湧いてきます。
想い出の中で
悔やむのは終わりにしましょう
いつの日もふり向いてばかり
さよならにくちびる噛んだら
けれど……、と二人は遠く離れた土地で空を見上げ、心で語り合います。
自分たちが同じあやまちを犯してしまったことは取り返せない。だからこそその「想い出の中で」あのときばかりを振り返って「悔やむのは終わりにしましょう」。
あまりに美しいあやまちであるがゆえに、お互い「いつの日も」他の選択肢があったのではないかと「ふり向いてばかり」いるね。
何度でも思い返して、あの「さよならに」魅了された自分を悔いて気が済むまで「くちびる噛んだら」、過去の二人のおでこをポンと叩いてあげましょう。
ミステイクを乗り越えて
もっとおバカさん
二度と逢えなくなるわ
大人のふりをしてさよならなんてしたら、「もっとおバカさん」だよ。
お互いを想い合う気持ちにさよならで蓋をしてしまえば、本当は離れたくなんてないのに「二度と逢えなくなるわ」。
それを望んでいたのかな?
さよならは
美し過ぎるあやまちを誘ってしまう
云わないで
二度と逢うことのない二人の想いはここで溶け合い、離れていながらその心だけがいつまでも通じ合います。
今ただ一つお互いに伝えたいのは「さよならは」望んでいない「美し過ぎるあやまちを誘ってしまう」ということ。
どうか、あなたも私も、これから決してさよならだけは「云わないで」……。
大切に想うからこそ避けられなかったすれ違いを題材に、男女の在り方をやさしく描き取った名曲ですね。
最後まで柔らかく、美しく、切ない情景だ……。この二人ほど「大人」な人間もいないという含みかもしれんな。
聴きどころ
全編を通して穏やかな曲調で、村下さんと中林由香さんの声がよく響いています。
二人の歌唱も楽曲のテイストや世界観に合わせて、広々として大人らしい雰囲気を持っていますね。
デュエット相手がいる分、特にこの曲は村下さんが「お兄さんらしさ」を醸しているように感じます。
ぽつりぽつりと入ってくる雨音のようなアクセントも演出として見事です。
管理人の感想(あとがき)
いい曲ですね……。
これまではさらりと聴いているだけの曲でしたけれど、じっくりと聴き込むとメロディにも歌詞にも味わいが出てきました。
阿久悠さんらしく分かりやすい作詞ながら、村下さんの音と歌唱でその射程がどこまでも広がったともいえるでしょうか。
まとめ
ここまでお読みくださってありがとうございました! 聴けば聴くほど味の出てくるするめソング、ぜひ何度でも聴いてみてくださいね。
皆様の味わい方なども、もしよろしければ教えてくださいませ☆
他の楽曲解説もご覧になりたい方は、歌詞全文下部↓のリンクへどうぞ。(直近の解説楽曲は「しゃぼん玉」でした)
美し過ぎるミステイク【歌詞全文】
さよならは いつでも少しミステイク そうでしょう おたがいの しあわせ祈るミステイク 思い違いがあとからわかる もう二度と あんな あやまちはしないと誓って もどかしいまわり道ばかり 何年もせつない思いで 泣いていたおバカさん さよならは 美し過ぎるミステイク 誰でも いつわりの 言葉に酔ったミステイク ひとり芝居で涙を流す 想い出の中で 悔やむのは終わりにしましょう いつの日もふり向いてばかり さよならにくちびる噛んだら もっとおバカさん 二度と逢えなくなるわ さよならは 美し過ぎるあやまちを誘ってしまう 云わないで
(作詞:阿久悠 作曲:村下孝蔵 編曲:水谷公生ー1987年5月21日)
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当サイトでこれまで取り上げた楽曲を改めて掲げておきますので、お時間のあるときにぜひ遊びにいらしてくださいね
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