村下孝蔵さんの激情曲【青い嵐】歌詞の意味や世界観を徹底解説&鑑賞!
村下孝蔵さんを昔からご存知の方も、新たに出会った方も、ようこそいらっしゃいました!
前々回は9thシングルA面「かざぐるま」、前回は同B面「幸せの時間」と解説してまいりましたが、今回は管理人の独断で(?)「青い嵐」を解説・鑑賞してまいります。
- 参考:村下孝蔵さん楽曲解説特集🎸
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(⇒村下孝蔵さん楽曲解説・歌詞解題についての詳しい「考え方」はこちら)
ご興味のある方は、以下の記事もお楽しみいただけるはずと自負しておりますので、お時間のあるときにどうぞ遊びにいらしてくださいませ。
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村下孝蔵さんの激情曲【青い嵐】歌詞の意味や世界観を徹底解説&鑑賞!(解説楽曲例:ロマンスカー、だめですか、いいなずけ、北斗七星、夢からさめたらなど)
もちろん個人的な解釈であり、味わい方ですので、皆様が村下さんの楽曲を鑑賞する際のひとつの参考となれたならば幸いです。
それでは、早速「青い嵐」の解説に入っていきましょう!
下部に歌詞全文を用意しましたので、適宜ご利用くださいね。
- 🎵 当記事の著者について
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涙流して 激しく別れる方が
いつかきれいな想い出にできる
解題
胸の内で何かが爆発するような、何かのわだかまりを打ち壊すようなドラムの音から開始する本楽曲。
ピアノの和音の連打なども合わせて、村下さんの楽曲の中でかっこよさでは上位に位置しますね。
基本的な場面設定としては、ともに激しく愛し合った女性との関係が、おそらくは女性の心変わりによって終わりを迎えるときの男性の様子でしょうか。
男性は空を雨雲が覆う薄暗い自室で、目の前に姿のない女性へ語り掛けます。
大人ぶって別れ話をするよりも「涙流して」気持ちを「激しく」ぶつけ合って「別れる方が」、お互いにとっていいだろう。
下手に理性的に終わらせようとすれば、どちらも言いたいことを言えないままにしてしまう部分が必ず残る。
そんなくすぶった想いを抱えておくのではなくすべてぶつけ合えば「いつか」時間が経つ間に、お互いの美しいところが浮かび上がって「きれいな想い出にできる」からだ……。
部屋の電話は鏡のように冷たい
あの日好きだった雨が今日も降る
荒天のこの日、女性をどこかへ呼び出すわけにもいかず、男性は電話でけりをつけようかどうか考えます。
しかし、かつて女性と離れていてさえ愛の言葉を交わした「部屋の電話は」、今や男性の灰色の顔を映す「鏡のように冷たい」さまでそこにあり、男性は受話器に手を掛けようとするたびに躊躇します。
女性と一つ同じ傘で道を歩き、二人で手をつないでいれば水の冷たさも気にならなかった「あの日好きだった雨が」、当時を思い出させるように「今日も降る」のを男性は窓から眺めています。
男性はふいに雨音が自分の胸の中まで響いてくるのを感じます。
淋しさで誰かの淋しさを
包み込んでみたけれど
空っぽの胸の中吹き荒れる
青い嵐にまかれて
思えば女性との別れうんぬんに関わらず、淋しさはずっと自分とともにあったのかもしれない。
その「淋しさで」例えば今回の女性など他の「誰かの淋しさを 包み込んでみたけれど」も、お互いに冷たいもの同士を合わせて温かなものが生まれるはずはなかったのだろうか……。
あの女性がいさえすれば完全に満たされると思っていた「空っぽの胸の中」に、男性自身の心を粉々にするほど「吹き荒れる」のはどのような想いでしょうか。
自分こそが女性を幸せにできると信じていたのに、その気持ちが届かなかったことへの無念さや怒り、一方で自分が他の男に及ばない点があるのかという悔しさや妬み、苦悩。
男性もどこかで原因に気付いているのですが、この「青い嵐にまかれて」身動きが取れないまま過ごしています。
ジェラシーもつれた
ドラマの筋書き通り
一人黙ってこの街を出る
そんな男性にできることといえば、いかにも男女関係の「ジェラシー」が「もつれた」出来合いの「ドラマの筋書き通り」に振る舞うことだけでした。
本当は女性に対して言いたいことも、女性から聴きたいこともたくさんあるのに、胸の中の青い嵐の勢いでそれもかないません。
頬に吹き付ける初夏の風の心地よさを裏腹なものに感じながら、男性は「一人黙って」女性と過ごした「この街を出る」ことを決意したのでした。
何故か大事な約束を忘れた君は
愛の迷路に閉じ込められたの
赤い造花は いつまでも枯れず今は
まるで終わった恋の亡骸さ
街を離れると決めてみると、心がほぐれたわけではないけれども、男性は女性の気持ちに思いを馳せることができました。
「何故か」二人で計画して楽しみにしていたはずの旅行の「大事な約束を」何も言わずに「忘れた」かのような女性は、依存や比較や希望や肩透かしや焦燥などという「愛の迷路」に一人「閉じ込められたの」だろうか。
女性の淋しさにも思いが至り、男性は電話の横のガラス瓶に差した花を見つめます。
二人の愛のように永久に枯れないものを、と入手した「赤い造花は」ほこりをかぶっても汚れても「いつまでも枯れず今は」、むしろ二人を絡めてそのまま留めてしまう「まるで終わった恋の亡骸さ」……。
淋しさで誰かの淋しさを
包み込んでみたけれど
お互いの胸の中吹き荒れる
青い嵐にまかれて
やり場のない「淋しさで」自分以外の「誰かの淋しさを」飲み干してしまおうと「包み込んでみたけれど」、誰の心にも含まれている本来的な淋しさに混ざり合ってそれだけなのだろうか……。
「お互いの胸の中」を終わることなく「吹き荒れる 青い嵐にまかれて」、二人の関係がうまくいくはずはなかった。
このあり方を乗り越えることは可能なのか? 男性は淋しさや悲しみからではなくこぼれてきそうな涙をこらえました。
ジェラシーからまる
嘘の香りはもう捨てて
いつか好きだった歌にさよならさ
街を出る当日、男性は空を見上げて思います。
自分から女性、女性から自分、自分から他の男性、他の男性から自分や女性へと「ジェラシー」がむなしく「からまる 嘘の」言葉の数々の「香り」は「もう捨てて」しまおう。
愛を語るため、恋を伝えるため、自分も女性も誰もが多くの言葉を使うけれど、その背後にある淋しさを自分で見つめることのない限り、どこまでも不確かな気配はついて回る。
それを乗り越えるためにも「いつか好きだった」愛の台詞が散りばめられた「歌に」、そしてこの上なく愛した女性に、今こそ「さよならさ」……。
聴きどころ
とにかく音楽がかっこいいという点が、本楽曲で一番の聴きどころでしょう。
村下さんの歌の中でも数少ない(もしかしたら唯一の?)ハードなノリで「踊れる」楽曲かもしれません笑
しかし、やはり音楽にノリだけではない力強さが練り込まれているので、踊っていてもどこか力んでしまいそうな気もします。
「初恋」の頃の楽曲ですし、村下さんも創作や演奏面ではかなり勢いのある状態だと思います。
エンディングの転調も実にかっこいいです。
「ジェラシー」というカタカナ語が使われている点も注目ポイントです!
管理人の感想(あとがき)
村下さんの多くの楽曲にいえることかと思いますが、この楽曲も古めかしさを感じさせないのですよね。
目立つ楽器はピアノとベース?くらいなのに、音も重厚に出ていますし、村下さんの歌唱も素直にキレがあります。
詞の内容も青春の恋愛と位置付けて済ませるのでは足りない奥行きがあって、何度も聴きたくなってしまいます。
それでは、皆様もぜひご自身なりの解釈で「青い嵐」を存分に味わってくださいね☆
青い嵐【歌詞全文】
涙流して 激しく別れる方が いつかきれいな想い出にできる 部屋の電話は鏡のように冷たい あの日好きだった雨が今日も降る 淋しさで誰かの淋しさを 包み込んでみたけれど 空っぽの胸の中吹き荒れる 青い嵐にまかれて ジェラシーもつれた ドラマの筋書き通り 一人黙ってこの街を出る 何故か大事な約束を忘れた君は 愛の迷路に閉じ込められたの 赤い造花は いつまでも枯れず今は まるで終わった恋の亡骸さ 淋しさで誰かの淋しさを 包み込んでみたけれど お互いの胸の中吹き荒れる 青い嵐にまかれて ジェラシーからまる 嘘の香りはもう捨てて いつか好きだった歌にさよならさ
(作詞・作曲:村下孝蔵 編曲:水谷公生ー1983年8月25日)
関連記事ーその他楽曲解説など
ここまでお読みくださってありがとうございました!
村下孝蔵さんには他にも素敵な楽曲がたくさんあります。
当サイトでこれまで取り上げた楽曲を改めて掲げておきますので、お時間のあるときにぜひ遊びにいらしてくださいね
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