2023.11.23

【二年前なら】村下孝蔵さんのことを知らないでいられたのに……。歌詞の意味や世界観を解説＆鑑賞！

おうじゃ（管理人）

（記事内にプロモーションを含む場合があります）

今回はややマニアックかもしれない一曲を取り上げます。

村下さんファン（ムラシタンとも呼ばれます）ならばご存じの方も多いでしょうけれど、もしまだお聴きになったことのない方がいらっしゃればぜひ一度聴いてみてくださいね。

その名も「二年前なら」です！

ちょっと後ろ向きなタイトルにも見えますが、一体どんな内容なのでしょうか？？

参考：村下孝蔵さん楽曲解説特集🎸: 当サイトは非公式のファンサイトであり、ファンの皆様がご自身なりに楽しめる場を提供することを目的としています。同時に、村下孝蔵さんの全楽曲、とりわけその歌詞の意味や世界観を解説することを主たる目標に掲げています。

（⇒村下孝蔵さん楽曲解説・歌詞解題についての詳しい「考え方」はこちら）

ご興味のある方は、以下の記事もお楽しみいただけるはずと自負しておりますので、お時間のあるときにどうぞ遊びにいらしてくださいませ。

↓↓↓

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村下孝蔵：隠れた名曲【13曲】ランキングカテゴリー

（解説楽曲例：ロマンスカー、だめですか、いいなずけ、北斗七星、夢からさめたらなど）

⇒「踊り子」など代表曲はこちら

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管理人なりに全力で取り組みましたので、皆様が村下さんの楽曲を別な視点から楽しむ参考になることだけは請け合いです☆

下部に歌詞全文を用意しました、適宜ご利用くださいね。

🎵 当記事の著者について: 当サイト管理人

名前 / Name 　
おうじゃ　

職業 / Occupation
生来詩人、お米賞味マイスター、歌詞解説・鑑賞家、福話術者（家庭教師も兼業）

実績 / Achievements
生まれたときから詩的な人生を送っています。村下孝蔵さんに出逢ってから、その楽曲を肌身離さず心に持ち歩いては味わってきました。
姉妹サイトではシティポップの楽曲解説や、自身の生活の中で頂いたお米の銘柄の特徴をレビューしつつ【福話術】と題したあらゆる人の心に寄り添う記事を執筆、分野を開拓しています。

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（姉妹サイト「おうじゃの福眼」プロフィールページへ遷移します）

Contents

“二年前なら”
二年前なら【歌詞全文】
- 関連記事ーその他楽曲解説・小ネタなど

『汽笛がきこえる街』所収

“二年前なら”

（遷移せずこの場で再生できます▶）

＊君のいない暮らしにも
　慣れてしまったから
　二年前の悲しみは二度とはいらない

解題

フォークソングのテイストを受け継いだような、明るさと切なさを混ぜ込んだイントロが印象的ですね。

1stアルバムに収録された楽曲ですし、村下さんの歌唱が大変若々しいことに気が付く方もいらっしゃるでしょう。

基本的な場面設定としては、かつてお付き合いしていた女性のことを男性が思い返しているというものです。

男性は女性とともに過ごした一室にいま現在も住んでいて、時が過ぎていく中で「＊君のいない暮らしにも」ようやく「慣れてしまった」というくらいまで気持ちの整理がついたのでした。

しかし、すぐのちに判明しますが、他の男になびき全く音沙汰のなかった女性からある日突然連絡があったのです。

そのとき男性が真っ先に感じたのは「二年前の」あの耐えがたい「悲しみは」、あの素晴らしい日々を過ごした女性が相手だとしても「二度とはいらない」ということ。

　あれが君のすべてなら
　くり返すばかり
　あの日の僕にはもう帰れない

あのとき数えきれないほどぶつかり合って、話し合って気持ちを確かめたけれど、結局「あれが君のすべてなら」何度やっても同じことを「くり返すばかり」だ。

その経験で自分も多くのことを学んだから「あの日の僕には」、もし君が今度は心から愛してくれるとしても「もう帰れない」。

ダルマ師匠

そう思えるくらい、当時男性は女性のことを愛していたのじゃな。男性の心がつらい板挟みの状態にあるのが目に浮かぶぞ。

久しぶりの電話で僕は
誰だかわからなかったよ
あの朝別れた君の　そんな君の声だとは

初めはがんばって振り切り、次第に光の当たらない胸の片隅に薄れていった女性との日々の記憶は、ふいに思いがけない形で呼び覚まされました。

以前一緒に暮らしていた場所ですから、もちろん女性もその電話番号を知っています。

女性からの予想さえしていない「久しぶりの電話で」、男性は一瞬電話の声が「誰だかわからなかった」のですね。

「あの朝」もはやどうしようもないくらいお互いに衝突して、会うことはおろか二度と話すことさえないだろうと（心の中で）啖呵を切って「別れた」、「そんな君の声だとは」思いもよりません。

今さら一緒に　酒を飲もうよなんて
それはあまりにも
調子よすぎるじゃないか

話を聴いてみれば、女性は何を思ったのか、男性と「今さら一緒に」かつてのように「酒を飲もうよ」と言います。

男性の気持ちがわずかも揺らがなかったといえば嘘になるでしょう。

しかし、女性のそんな身勝手「なんて　それはあまりにも」昔の二人の記憶まで踏みにじるようで「調子よすぎるじゃないか」。

二年前なら　二年前なら
すぐにでも君を迎えに行くのに
久しぶりの電話で僕は
誰だかわからなかったよ

男性の胸のうちに、何度も何度も「二年前」の光景が浮かび上がります。

そのとき「なら」、あの二人の日々をもっとつなぎとめることができたはずの「二年前なら」、たったいま「すぐにでも」女性のこと「を迎えに行くのに」……。

振り切ってから長い時間が経った「久しぶりの電話で」、男性はそれが「誰だかわからなかった」のですが、愛し合ったあの女性だとふと気が付いたとき、むしろありありと当時の感覚が再現されたのですね。

おうじゃ

お付き合いを始めるころ毎日のように電話で話していたときの女性の声が、男性の耳（あるいはもっと深いところ）に現在も残っていたのでしょう。

＊くりかえし

男性が暮らす場所はあれから変化していませんが、仕事で関わる相手、日常の過ごし方、さまざまなものに触れそれに対して思いや感情が生じて……という男性のあり方は前とは変わっています。

そこへ突然かかってきた女性からの電話のせいで、男性の心にはあのころ二人でこの世界を生きていた毎日が「＊くりかえし」渦巻くようになってしまいました。

今さら昔のように　なろうよなんて
だけど君にはあいつが
とてもお似合いじゃないか

そんな気持ちに付随して現れてくるのは、乗り越えたはずの記憶でした。

二年前に男性を捨てて他の男に走った女性が「今さら昔のように」二人で仲良く、楽しく生きられるように「なろうよなんて」言うことは、男性にとってあまりにも悔しく、つらいことです。

かんむりちゃん

自分のほうが女性がなびいた男よりもふさわしいことは、その当時からはっきりと分かっていたのですね。

だからこそ、時間をおいてその通りの結果になったことがより一層男性にやり場のない気持ちを引き起こすのでしょう。

だから男性は、強がるわけではないけれども「だけど君には」あの魅力的な「あいつがとてもお似合いじゃないか」、今でも楽しい毎日を暮らしているんだろう？　とでも言いたくなるのですね。

二年前なら　二年前なら
すぐにでも君を迎えに行くのに
二年前なら　二年前なら
二年前なら　二年前なら

とはいえ、男性はなぜか収まりがつかず「二年前なら」よかったのに、という気持ちが芽生えています。

「二年前なら」間違いなく「すぐにでも」女性のこと「を迎えに行くのに」、そうしてすぐにでも抱き締めて二人のことを確かめ合うのに。

「二年前なら」この電話を置いて、すぐ車のキーを取って「二年前なら」最初のデートのときのジャケットを着て、久しぶりの帽子でもかぶって「二年前なら」女性の好きな音楽を車で流して、女性がどんな顔をするか想像して「二年前なら」あの夕陽を見た海岸にでも連れて行って、もう一度抱き合って……。

＊くりかえし

男性がこんな想像を「＊くりかえし」ている様子がいつまでもそこにあるようです。

人間同士のかかわりの中でみられる心の動きを、誰しも経験があるような出来事を通じて丹念に描いた初期の村下さんらしい名作ですね。

聴きどころ

最初に触れたように、村下さんの歌唱が実に若々しいところは第一のポイントですね。

さらによく聴き込んでみると、メロディラインの流れがとても心地よいことにも気付きます。

「二年前なら」というリフレインはきっとしばらく皆様の耳に残ってしまうのではないでしょうか笑

管理人の感想（あとがき）

管理人が本楽曲と出会ったのは、おそらくアルバム『初恋～浅き夢みし～』を入手した次のタイミングだったのではないかと思います。

「松山行フェリー」が有名どころの曲だということを知ったので、たぶんそちらをたくさん聴いて本楽曲はさほど注目していなかったかもしれません。

けれどやっぱりいい曲ですね～。

フォークソングのテイストを組み込んでいるのでしょうけど、むしろ村下ワールドがはっきりと現れています。

ちなみに管理人が村下さんを聴き始めたのは二年前ではありませんよ～笑

まとめ

今回は村下孝蔵さんの振り切り曲「二年前なら」を解説してまいりました。ぜひ皆様もご自分なりの解釈で楽しんでみてくださいね☆

他の楽曲解説もご覧になりたい方は、歌詞全文下部↓のリンクへどうぞ。（直近の解説楽曲は「モ・ザ・イ・ク」でした）

おまけ：「それぞれの風」バージョン

松田家書庫さんのチャンネルより

こちらは村下さんがプロデビュー前に自費出版の形で発表したアルバム『それぞれの風』に収録されていたバージョンです。

フォークというかロックの感触が色濃いですね～！　こんなにノリノリの村下ソングは珍しいです！

二年前なら【歌詞全文】

＊君のいない暮らしにも
　慣れてしまったから
　二年前の悲しみは二度とはいらない
　あれが君のすべてなら
　くり返すばかり
　あの日の僕にはもう帰れない

久しぶりの電話で僕は
誰だかわからなかったよ
あの朝別れた君の　そんな君の声だとは
今さら一緒に　酒を飲もうよなんて
それはあまりにも
調子よすぎるじゃないか

二年前なら　二年前なら
すぐにでも君を迎えに行くのに
久しぶりの電話で僕は
誰だかわからなかったよ

＊くりかえし

今さら昔のように　なろうよなんて
だけど君にはあいつが
とてもお似合いじゃないか

二年前なら　二年前なら
すぐにでも君を迎えに行くのに
二年前なら　二年前なら
二年前なら　二年前なら

＊くりかえし

（作詞・作曲：村下孝蔵　編曲：水谷公生ー1980年7月1日）

この歌詞全文の引用は「二年前なら」の魅力を解説するため、および閲覧者の方々の便宜のための必要によってなされたものです。